謎の真相

「なにをグズグズしてるんだ、どうせ助かる見込みがないなら他の困っている人に臓器提供するのがまともな人間の考え方というものだろう」と。

まず間違いなくこのような主張をぶつけてくるからである。

私は、先の記事で「贅沢放蕩な生活をしながら口先で愛、愛、LOVE、LOVEと唱えた所で、待っているのは血で血を洗う殺戮だ」と書いたが、上のような主張を実際にする美談派（肯定派）の連中がいたならば、それは間違いなくこの系統に思える。



また、全く助かる見込みがないにかかわらず、パイプを何本も繋げ人工呼吸器をつけ延命にすがるのも醜悪としか言いようがない。



そこまでして生きたいか？


と言いたい所だが、ただ、このような場合は大抵本人の意思ではなく、親族の未練が元であったり、医療上外すわけにいかないとか、患者の容態、状況によって複雑に法律が絡んでくるので事態は単純ではないようである。

安楽死を認めるか可能な限り延命処置をするかは世界中で問題となっている。
その延命処置にしても、「これは治療の一環なのか、無理な延命処置なのか、延命処置といえるのか、治療してるだけなのか」等の線引きもケースバイケースで色々あるだろうし、医者がこういうことをした場合、殺人幇助にあたるのか、あたらないのか、等なかなか簡単にはまとめられない。

ただ、一つ間違いなく言えることは、


『自然の状態にあって死んでいるはずの者を無理に延命してはならない』ということである。
（脳死と呼ばれる容態となった人は、できるだけ自然に近い形で無理な延命処置をせずに死なせてやることである。）


他の動物と同じように、他の生物を捕食して命を繋いでる人間が、自分だけが自然の法則に逆らってよいという話にはならないからである。


単純な話、地球という限られた一定の環境の中で、人間だけが自然の法則に逆らった無理な延命をすると、それに伴って人間の食糧となる生き物も無理な延命（無理な増量）をせねばならなくなるからである。
当然、それに伴って地球という惑星そのものも増えた（無理な延命をする）生物を支えるため三割増し五割増しとでかくなっていかねばならなくなる。



要するに、これは人間のエゴなのだ。


臓器移植にせよ、無理な延命にせよ



別れるのが辛いから死なないようにしてくれ、死なれると悲しいから死なないようにしてくれ（＋死なないようにすると儲かるからその方向で行ってくれ）



単刀直入にズバリ言うと



子供のダダと同じことである。



他人の臓器まで使って生き延びようとするのは、卑しい鬼畜の所業としか言いようがない。

小さい自分の子が障害を背負って、臓器を替えるしか助かる見込みがない、親としては全力で助けてやろうと考える。それ自体は全く間違った考えではない。
しかし、他人の子供を犠牲にしてまで助けたいと考えるのは異常な発想である。


所がこの臓器移植の最大の問題点は、そのような発想を間違ったことではないと暗に誘導してきた輩にこそあったわけである。
治療を請け負う医者の側の世界が、癌治療と並んで臓器移植がドル箱になるもので、先に紹介した御話のような、きれい事ではない生々しい現場の様相をずっと秘匿してきたという所に問題の核がある。


「脳死の実態が臓器摘出が、そんな恐ろしいことだったとは…」

先の記事を見て初めて知った人も多かろうと思う。



形ある物は必ず壊れる。それが何であれ永遠に原型を保っているということはない。ダイヤモンドであれ、地球であれ太陽であれ。
必ず原型を保たなくなる。
咲いた花が散るのも当たり前のことである。
人が死ぬのも当たり前のことである。
桜は毎年咲き、名残惜しく散っていくが、また来年見れるからと人々は素直に受け入れる。
もし、桜が人間の寿命80～90年の間に二回程度しか見られないということになると、おそらく咲いた桜が丸一年以上散らないように真剣に細工を施すことを考える輩が必ず出てくるだろう。


もちろん、それも人間のエゴである。



森羅万象の正律の中で、与えられた時間を受け入れ、悲しみも苦しみも受け入れ、その限られた時間の中で“その限られた時間であったからこそ”見出だせる値打ちの高いものを掴むよう努めるのが、まともな人生というものであろうと思う。


分かりやすい一つの例として、あなたのお子さんが先が短いなら、そのお子さんのためにあなたが考えた物語をあなたが手描きで絵本にして読んで聞かせればよい。
その絵本は間違いなくあなたがお子さんを思う気持ちと出会いの感動の籠った他の人間には書けない素晴らしいものになるはずである。