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先日の日刊ゲンダイの暴露記事の論拠として、前審査員の平野敬子さんのブログに掲載されたIOCの規定を引用させて頂いたわけだが、………
【IOCのデザイン規定】
(1)エンブレムはその大会(2020年東京大会)と一目でわかるようなデザインにしてください。
(2)開催都市、開催国らしさを反映すべきであるが、商標登録を行う必要があるため「社会の共有財産(誰もが知っているようなシンボル 例:富士山)」と見なされるものと混同させるようなデザインを含まないようにしてください。(IOC規定による)
(3)オリジナリティを持ち国際的に認識されているイメージ(例:各国国旗、国際機関シンボルマーク等などと混同されるようなデザインを含まないでください。)(IOC規定による)
(4)オリンピック聖火、メダル、オリンピックシンボル等、オリンピックに関係するデザインと類似したデザインをしないでください。
(5)JOC等他の競技団体と混同されるようなデザインにしないでください。
(6)将来開催予定の「大会マスコット」との類似性が出てしまうようなキャラクター要素を含まないようにしてください。
(7)あらゆるプラットフォームでも見やすく、かつフルカラー及び白黒で複製可能であることを条件とします。
(8)世界中で親しまれ、理解されるようなデザインをお考えください。
(9)オリンピックとパラリンピックは同じファミリーに属していると一目でわかり、かつ、混同される恐れがないようにデザインしてください。
(10)オリンピックのモットー、五輪マーク旗、その他オリンピックに関係する画像(炎、聖火、メダル)、スローガン、マーク・記号、その他特徴的な目印またはそれらの曲解的なデザインなど紛らわしいものを含んでいないこと。
(11)あらゆるプラットフォーム上でも視認性が高いこと。特に放送局のエンブレムに関するニーズに関しても検討しそれにこたえられるようなものになっていること。
(組織委員会より審査委員に配布された書類より記載)
――――――――――
どうも腑に落ちない部分がある……………
『富士山や桜のような公共の財産をデザインに取り込んではならない』というIOCの厳しい規定があるというなら、散々言われた「招致の時の桜のやつは何でダメなんだ?」という質問に対して、その時なぜこれを言わなかったのか?
そこには、公表せねばならない事実を隠してまで何としても富士山や桜の絵が苦手な人物のデザインを採用させたいのだという卑劣な意図が伝わってくる。
しかし、一方でそれが実際にIOCの規定だというなら、富士山や桜の絵の得意な人は引き下がるしかなくなるともいえるだろう。
では、実際のIOCのエンブレムの制作規定に関する原文はどうなっているのか?
何と書いてあるのか?
そこで、それを調べた所、驚くべき事実が露呈した
何とそこには、《山や花など自然の公共の財産を取り込むな》などといった類いの記述、またそれに類する規定はどこにも書いてないのだ
これには大変驚いた。
その原文がこちらにある。
〇オリンピック憲章の規定
その
11 オリンピック・エンブレム
オリンピック・エンブレムは、オリンピック・リングに他の固有の要素を結びつけた統合的なデザインである。
出典:オリンピック憲章 Olympic Charter 2015年版・英和対訳(2015年8月2日から有効)(PDF)
以下付属細則より:
※エンブレムに関する規定の説明は、この付属細則2.2から始まる。
2.2 オリンピックシンボル、オリンピックエンブレム、その他のIOCのオリンピック資産は、以下の各条件を満たすことを条件に、IOC自身により、またはIOCが権限を与えた個人により、NOCのある国において利用することができる。―
そして、その実際の制作規定の説明は付属細則4からである。
………
4. NOCまたはOCOGによるオリンピック・エンブレムの創作と使用
4.1 NOCまたはOCOGはIOCが承認した場合、オリンピック・エンブレムを創作することができる。
4.2 IOCはオリンピック・エンブレムのデザインについて、他のオリンピック・エンブレムと異なる固有のものであると判断した場合に承認することができる。
4.3 オリンピック・エンブレムの中に占めるオリンピック・シンボルの面積は、エンブレム全体の3分の1の大きさを超えてはならない。また、オリンピック・エンブレムの中のオリンピック・シンボルは全体を完全に表していなければならず、いかなる修正も加えてはならない。
4.4 上記に加え、NOCのオリンピック・エンブレムは、以下の条件を満たさなければならない。
4.4.1 エンブレムは当該NOCの国との結びつきが明確に認識できるようなデザインでなければならない。
4.4.2 エンブレムが固有のものであることを示す要素は、当該NOCの国の国名、あるいは国名の省略形に限定してはならない。
人気ブログランキングへ 4.4.3 エンブレムが固有のものであることを示す要素は、時間的な限定につながらないようにするため、オリンピック競技大会、あるいは特定の日付、行事と関連づけてはならない。
4.4.4 エンブレムが固有のものであることを示す要素は、普遍的あるいは国際的であるかのような印象を与えるモットーや名称、その他の総称的表現を一切含んではならない。
4.5 OCOG のオリンピック ・ エンブレムは、上記の条項4.1、4.2、4.3の規定に加え、以下の条件を満たさなければならない。
4.5.1 エンブレムは当該 OCOGが組織運営するオリンピック競技大会との結びつきが明確に認識できるようなデザインでなければならない。
4.5.2 エンブレムが固有のものであることを示す要素は、当該 OCOG の国の国名、あるいは国名の省略形に限定してはならない。
4.5.3 エンブレムが固有のものであることを示す要素は、普遍的あるいは国際的であるかのような印象を与えるモットーや名称、 その他の総称的表現を一切含んではならない。
”
※OCOG(s)オリンピック競技大会組織委員会(the Organising Committees for the Olympic Games)
NOC国内オリンピック委員会
4.6 上記の規定が発効する以前にIOCが承認したオリンピック・エンブレムについては、そのまますべて有効とする。
4.10.4 オリンピック・エンブレムの使用は、オリンピック・ムーブメントの発展に寄与するものでなければならず、その品位を損なうものであってはならない。オリンピック憲章の定めるオリンピズムの根本原則、またはIOCの役割と相容れない場合には、製品あるいはサービスをオリンピック・エンブレムと関連づけることは禁止される。
………………………
『オリンピック憲章』にあるエンブレムの制作規定、表現に対する指示は上記が全てである。
次に、『IOCの倫理規定』の最新版から
からのPDF
IOCの倫理規定によると、
〇2.申請都市 という項目の2.1-a.b.c.dという所に、ロゴの作成という題でエンブレムの制作に関する具体的な指示、規定が書かれている。
2.1 ロゴの作成
申請都市は、大会開催招致に関係して、ロゴを作成できるが、ロゴの独自デザインは以下のようになってはいけない:
a) NOC エンブレムの要素を含む又は歪曲したもの、若しくは紛らわしく類似したもの
b) 都市が位置する地域の名前又は略称に限定されたもの
c) 画像や国際的また世界的に知られた表現やメッセージを含むもの
d) オリンピックシンボル、オリンピックモットー、オリンピック旗、その他オリンピック関連の描写(聖火、トーチ、メダル等)、スローガン、呼称又は他のしるし、それらを歪曲したもの、若しくは紛らわしく類似したデザイン
〇立候補都市に対してのエンブレム規定
※申請都市とは、世界中のオリンピック候補地になりたいと声を上げた段階の都市のことで、立候補都市とは、一次審査を通って正式な立候補都市と認められた都市。
3. 立候補都市
3.1 ロゴ及びスローガンの使用
立候補都市は、大会開催招致に関係して、ロゴと(もし存在すれば)スローガンを、第2 段落に規定される条件に従い、続けて使用することができる。ロゴと(もし存在すれば)スローガンは、立候補都市の位置するNOC の地域外でも使用することができるが、第3者が介在しない。
3.2 エンブレムの作成
立候補都市は、以下の条件い従い、大会開催招致に関係してエンブレムを作成することができる:
a) エンブレムは、グラフィックガイドラインに従い、オリンピックシンボルの色、デザインと形状を、完全に、正確に装飾なく表現するものとする。
b) オリンピックシンボルにカバーされる部分は、エンブレム全体の3分の1を超えてはならない。
3.3 エンブレムの承認
立候補都市は、エンブレムを、まずNOC へ承認を得るために提出する。もしエンブレムが当該NOC によって承認されれば、申請都市はそのエンブレムをIOC へ文書により提出し、使用前に承認を得るものとする。
3.4 エンブレムの一般的使用
a) エンブレムは常に全体で使用され、一部のみを分離して使用することはできない。
b) エンブレムの位置、形態とデザインは常にどのような方法でも変更、歪曲又は再描写してはならない。
―――――――――――――――――
以上が、『オリンピック憲章』並び『IOC倫理規定』の全てを見渡して確認した、エンブレム制作に関する指示、規定である。
これの一体どこをどうひねくり回せば、《山や植物などの共有財産を描いてはならない》という話が出てくるのか?
そんな内容はどこにも見当たらない。
(※上記抜粋以外の箇所からでも、それと見受けられる記述を発見された方は、ぜひコメント欄まで御一報下さい)
そもそも、これらを見てわかるのは、エンブレムの制作規定については、申請都市の段階のものをずっと踏襲しており、招致の段階では桜(自然の風景、天然の共有財産)はよくて、本番ではダメなどという内容の記述はどこにも書かれていない。
では、この度の応募要項をもう一度見てみよう。………
○エンブレムの制作要件1
・上から順番に、トップエンブレムおよびワードマークをデザインし、それぞれのシンボルを添えてください。
・ オリンピックとパラリンピックのトップエンブレムは、それぞれ別のデザインとしつつも同じファミリーとみられるように開発してください。
・ ワードマークは全て大文字で「TOKYO 2020」としてください。オリンピック・パラリンピックともに同じ書体とし、既存の書体ではなくオリジナルの書体とする必要があります。
・パラリンピックエンブレムは、ワードマークの下に「Paralympic Games」または「PARALYMPIC GAMES」と表記してください。この表記も既存の書体ではなくオリジナルの書体とする必要があります。
・オリンピックシンボル・パラリンピックシンボルは、エンブレムの総面積の1 / 3 を超えないようにしてください。
・シンボルを添える際には指定のクリアスペースを守ること。
〇エンブレムの制作条件2
【制作にあたってのルール】以下の場合は、審査の対象外とします
・オリンピック/パラリンピックエンブレム、展開案(応募要項においてテンプレートを公表)がそろっていないもの。
・エンブレムを構成する要素のいずれかが欠けているもの。
・エンブレムを構成するそれぞれの要素の順番を変えたり、まとめたりするもの。
・パラリンピックエンブレムのワードマークの下にParalympic Games の記載がないもの。
・オリンピックシンボルまたはパラリンピックシンボルが明らかにエンブレムの総面積の1 / 3 を超えているもの。
・国際的に認識されているイメージ(例:国旗や国際機関のマーク等)と混同されるおそれのあるもの。
・JOC・JPC 等他の競技団体と混同されるおそれのあるもの。
・アルファベットや一般的な図形のみで構成されているもの。
・オリンピックシンボル・パラリンピックシンボルをアレンジしたもの。
・聖火やメダルをアレンジしたもの。
・既に公表されているものと同一又は類似のもの。(Web による公開も公表作品とみなします)
・第三者の著作権や商標権等の権利を侵害するおそれのあるもの。
・政治的・宗教的メッセージを含むもの。
・反社会的な要素、誹謗中傷を含むもの。公序良俗その他法令の規定に反するもの。
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この中には間違いなく、先の平野敬子さんらに配られた
(2)開催都市、開催国らしさを反映すべきであるが、商標登録を行う必要があるため「社会の共有財産(誰もが知っているようなシンボル 例:富士山)」と見なされるものと混同させるようなデザインを含まないようにしてください。(IOC規定による)
という記述は見当たらない。
(※それだけでとんでもない不正だ!)
一体何がどうIOC規定なのだ?
(2)開催都市、開催国らしさを反映すべきであるが、商標登録を行う必要があるため「社会の共有財産(誰もが知っているようなシンボル 例:富士山)」と見なされるものと混同させるようなデザインを含まないようにしてください。(IOC規定による)
…………この記述は一体、どこから来たのか?
何を論拠に、誰がねじ込んだのか?
…………………
※それともう一つ、
審査員達は、応募要項にこの重大な記述のなかったことをどう思っているのか?
あたかも、何者かの便宜を図るためとしか思えない卑劣な行為が行われたことに対し
なぜ、誰も騒がないのか?
わずかに平野敬子さんだけが、このような形で外部に洩らしてくれただけなのでは…………
?
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